写真コンテストの入賞作品が決まりました!

更新日:2018/01/06

絆づくり田んぼアート開始から5年を数えるにあたり初めて開催された写真コンテスト。審査委員長に在仙でプロの写真家である宍戸清孝氏をお迎えし、応募総数56点の中から4点の入賞作品が決定しました!ご応募いただきました皆様、大変ありがとうございました。
また、今回ご応募いただきました作品全56点を展示する写真展を次の通り開催いたします。いずれも絆づくり田んぼアートの1ページを飾るに相応しい作品ばかりですので、是非会場の仙台市広瀬文化センターまでお越しください。
◎会場「仙台市広瀬文化センター 1階ロビー(←クリックするとアクセス情報が表示されます)」
◎会期「平成30年1月10日(水)~21日(日)※初日10日の10時から入賞作品の表彰式を行います。」


☆最優秀作品
タイトル「仲良し」 撮影者:金田勝利

【講評】
2014年の夏休みの朝、ラジオ体操の後に友達と2人で立ち寄ったのでしょうか。2人の向こうに気持ちのいい空と見事な田んぼアートが広がっています。表情は見えませんが、その背中だけでも2人の仲のいい様子が分かります。特に効果的だったのはTシャツの背中に描かれた黄色い傘をさした女の子とその周囲で楽しそうな様子の犬の絵です。タイトルの「仲良し」に彩りを添え、2人の表情を想起させるアイテムになってくれました。

 

☆優秀賞
タイトル「イチニ・イチニ」 撮影者:西川英夫

【講評】
朝の陽射しを浴びて「気持ちいい朝だよ~」とでも言いたそうなカカシたち。遠景で全体を表現する写真もあるが、このように近景で稲を刈る直前の田んぼを表現する方法もあります。あぜ道にカメラを構えながら、稲の香りがしていたかもしれませんね。私がスズメだったら手前の可愛いカカシの腕に止まって「大丈夫、僕は稲を食べないからね」と言い、後ろのカカシはダースベーダーのようだとからかうかもしれない。そんな空想が広がる田んぼアートの表情を伝えているのではないでしょうか。

 

☆優秀賞
タイトル「田んぼアート草取り」 撮影者:瀧原昇

【講評】

何よりも田んぼアートの作業を通じて、親子が楽しみながら活動している様子が伝わってきます。普段、口に入るお米はどのような人々がどんな手間をかけて、どのように育ち、苗から稲に、稲からお米になるのか。田んぼアートはそれらの過程を知ることができる命の授業だと思います。アートは人間の持つ感性や生きる力を育み、心を豊かにする効用があります。親子で生き生きと学ぶ姿に心あたたまるように感じました。

 

☆審査委員長賞
タイトル「田んぼアート2017仙台」 撮影者:赤間正人
【講評】

「家族と一緒に田んぼアートを見物に来た記念に撮影しておこうよ」と言う声が聞こえてきそうな作品ですね。お子さんの表情から深い愛情を注がれ健やかに育っていることが伝わってきます。私も思わず微笑んでしまいました。親子の思い出を一瞬に刻んだ作品になりました。
この瞬間を切り取る技が写真の魅力であり基本です。ある人物から「無意識部から溢れるものでなければ、多くは無力か詐欺である」という宮澤賢治の言葉を教えられました。
この作品は少女が左手のピースサインを決めた瞬間ではなく、決めた後の瞬間を写しています。決めポーズを撮ることがよしとされる常識に惑わされず、無意識の喜びを押さえていることに、この言葉を思い出しました。
地域だけではなく県内、東北へと多くの人々に、田んぼアートの魅力を伝えるポスターになりうる作品であると思います。

 

【総評】
初めて審査を担当させていただく機会に恵まれましたことに感謝申しあげます。今回のご縁は阿部啓二さんとの出会いがきっかけでした。2017年3月、仙台市天文台で写真展を開催した際、阿部さんが訪ねてきてくださいました。私は30年近く、銀座ニコンサロンで米国日系二世をはじめとしたドキュメンタリー写真展を開催しています。長年、ニコンのカメラ技術者を務められた阿部さんは、日本写真界に造詣が深く、私の写真家としてのライフワークもご存じでした。阿部さんの飾らない人柄に話が弾むなかで、一緒に写真の魅力を発信する機会を持てればと考えるようになりました。そうした最中、今回のお話をいただき、快諾させていただいた次第です。
さて、今回の写真コンテストには56点の作品が集まりました。田んぼアートと一言でいっても、捉える視点や瞬間は無限に存在すると思います。田んぼアートだからこういうシーンを撮るべき、写真はこういう瞬間を押さえるべき、という「常識」に囚われてしまうと、写真が窮屈になってしまいます。そういう意味で、今回の受賞作品にはそれらの「常識」を破った「瞬間」や「視点」があったと思います。
写真は技術が先と考えがちですが、私はそう思いません。若い頃、ニューヨークで貧乏暮らしをしながら、一台のカメラを友に、モノクロフィルムを入れて撮影を繰り返しました。技術のなかった私は、繰り返し丁寧に撮影することしかできません。それでも、今、見なおしてみると、技術がなかった故のきらめきがあるように感じます。今はデジタル撮影で便利になりましたが、その分、便利さの代償として、しっかり見つめて考える作業を無くしてしまったような気がします。
写真は多くの人と人を結ぶ力を持ちます。それぞれの視点の違いを認め合い、多様性を重んじることが大切です。今後、より多くの方々が田んぼアートに興味を持っていただき、さらに多くの写真が集まり、若い方々からご年配の方々まで多くの方々が田んぼアートと写真を鍵に交流され、地域がますます発展されることを祈っております。それぞれの素晴らしい想いを込めた写真に乾杯!

※審査委員長略歴
宍戸清孝氏(仙台市在住)

1980年 渡米。2年6ヶ月滞在、ニューヨークにてドキュメンタリーフォトの歴史的価値に感銘
1986年 宍戸清孝写真事務所として独立(ルポルタージュフォト)
1992年 カンボジア・アンタック国連代表の明石 康氏と国連の活動を取材
同年、ニューヨーク世界写真文化センター理事長のコーネル・キャパ氏より指導を受ける
1996年 作品「20世紀中国の知性12人の博士の肖像」が北京精華大学永久収蔵作品となる
1998年 巡回展「ピュリッツア-賞写真展」(宮城県美術館)において記念講演
2003年 日本リアリズム写真展において特選を受賞、同年全米日系人博物館にコレクションされる(日本写真家協会会員)

◆主な写真展
1993年 「カンボジア鉄鎖を超えて」(銀座ニコンサロン)「世界報道写真展」(オランダハーグ)に出品
1994年 「カンボジアレポート」(ニューヨーク・ブロードウェイギャラリー)発表
1995年 「戦後50年記録・21世紀への帰還」(銀座ニコンサロン)
1996年 「光画・せんだい 地方都市からのメッセージ」(銀座ニコンサロン)
1997年 「東北写真探検・三沢」(キャノンサロン銀座・大阪・福岡・仙台)
1998年 「続・21世紀への帰還」(銀座ニコンサロン)
2000年 「日本の写真家1000人展」(東京恵比寿文化村)
2001年 「21世紀への帰還Ⅲ」(銀座ニコンサロン)・「漁民・畠山重篤が山に木を植えるということ」(キャノン銀座・札幌・仙台)
2002年 「日本リアリズム写真展・視点特選」などがある
2003年 日本の写真家に送られる三大賞のひとつである伊奈信男賞を受賞
2005年 宮城芸術選奨など受賞

◆著書
1998年 「論座」(9月号・朝日新聞社刊)に「21世紀への帰還」
1999年 「論座」(12月号)に「続21世紀への帰還」
2002年 「潮」(1月号・潮出版社刊)に「真珠湾攻撃60周年、日系二世の証言」を掲載
2017年 フォトエッセイ「春の消息」柳 美里×佐藤弘夫」撮影宍戸清孝 出版